感想その9(藤枝上映より)

「ハシッシ・ギャング」監督の小沢和史さんの旧友のイトウカヨコさんより、ご感想をいただきましたので、一部抜粋して、ご紹介させて頂きます烈
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『デルタ』は小川国夫さんの短編を原作とするオムニバス作品です。
三作品でデルタを成しているのだとか。
デルタは、川と川と、そして海との狭間に広がる場所ですが、
三人の監督それぞれの「デルタから見た彼岸と此岸の情景」が
スクリーンに映し出されていました。(のように私は感じたのですが)
物語は「人がいないこと」によって展開します。
大学のとき「トリックスター」が出て来る映画について
勉強した記憶があります。(「旅芸人の記録」とか?違ったかな?)
フーテンの寅さん的なトリックスターが狂言回しとなって
話が展開するみたいな?そんな講義だったような気がしますが
(記憶違いかも…?)
この映画は三作品とも「不在の人」が
トリックスターとなっています。
この構造がとても興味深く感じられました。
それは原作者である小川国夫さんの作風によるものなのかな。
※小川さんの作品には、それまで触れたことがなく、
いまようやく短篇集をめくり始めたところなのですが…。
では、その不在の人たちは、いったいどこへ行ったのか。
川向こう…彼岸でしょうか。
古びたトンネルの先に、蓬莱橋の向こう岸に、
そして、電車でゆく旅の終着駅に、広がっているかのような彼岸。
1作品、20数分の中で何度も「あっちがわ」へと
誘惑されてしまいそうでした。
「あっちがわ」にはどんなことが待ち受けているんだろう。
どんな世界が広がっているんだろう。
まあ思えば、日常もそんな感じですかね。
あちらへこちらへと、意識は行ったり来たり。
ときどき自分が何をしていたか思い出せなくなることがあります。
そんなことって、他の人にもよくあることと思うんですが、
そんなときは意識が彼岸に惹かれている状態なのでしょうか。
1時間と少しの上映時間が終わり、
ふわふわと意識が彼岸と此岸とを浮遊しているような感覚で
エンドロールを眺めました。
そして、映画館を出て、明るい外の日ざしをあびたら、
あっという間に此岸へと引き戻され…
すると、とたんにお腹がすく不思議!
映画館自体も、彼岸への入り口だったのか!
なんてことを、ちょうどお彼岸入りの日(20日)に考えはじめてたら
あっという間に25日になってしまった!
※3作品目の監督は、高校の同級生。
監督の「想い」や「狙い」は
理解しきれてはいないかもしれませんが…
これってかなり希有な状況なので
感想を書き終えるのにちょっと時間がかかりました。
イトウカヨコさんより
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ありがとうございました!!