幻想的で、現実的な小説

映画『デルタ 小川国夫原作オムニバス』、大阪シネ・ヌーヴォでの公開まで、
ちょうど残り2週間となりました!
先日のイベント“sdhellsong~耳よ、貝のように歌え”をご覧になった方にも
「小川国夫、知らなかったけど、読んでみてもいいな~」と思われている方が
少なからずいらっしゃると思います。(そう願います)
でも、いきなりどこから読めばいいのか、と言われてふと思い出したのが、
短篇小説のアンソロジー。つまり、複数の作家の小説を集めた本です。
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これはそのひとつ。2001年6月から数年かけて刊行された講談社文芸文庫の
『戦後短篇小説再発見』というシリーズの第1巻です。
ここに、太宰治「眉山」、三島由紀夫「雨のなかの噴水」らと並んで
小川国夫「相良油田(さがらゆでん)」が収録されています。
(もともとは『アポロンの島』につづく第二作品集『生のさ中に』に収録されていた
珠玉の短篇ですが、現在、絶版状態がつづいています。)
憧れの(?)美人教師に「御前崎に油田がある」とデタラメを言った少年(浩)が、
ふたりで油田を探しに行く話ですが、途中から夢と現実が交錯したような世界に
どんどん踏み込んでいく。こんな言い方は危険かもしれませんが、
いかにも小川国夫らしい作品と言ってもいいかもしれません。
※12/21(火)シネ・ヌーヴォ公開初日(19時~)上映後に、
 小川国夫さんとも親交が深かった画家・作家の司修さんをゲストに
 スペシャルトークショーを開催します!どうぞご期待ください!

下窪俊哉